東京地方裁判所 昭和43年(特わ)753号 判決 1969年4月26日
本店所在地
東京都台東区台東二丁目二二番六号
株式会社 丸美商会
(右代表者代表取締役 熊田治)
本籍
神戸市葺合区熊内町二丁目八五番地
住居
東京都台東区台東二丁目二二番六号
職業
会社役員
熊田治
大正六年一一月二八日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官板山隆重・弁護人田坂幹守出席のうえ審理してつぎのとおり判決する。
主文
被告会社を罰金三五〇万円に処する。
被告人熊田を懲役四月に処する。
被告人熊田に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、東京都台東区台東二丁目二二番六号に本店を置き、貴金属・指輪等の卸販売を主たる営業目的とする資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人熊田治は被告会社の代表取締役として同会社の業務一切を統括しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、取引の一部および期末棚卸の一部を除外して、簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和三九年八月一日から同四〇年七月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一三、〇四三、〇七〇円でこれに対する法人税額が四、六二〇、一四〇円であつたのにかかわらず、昭和四〇年九月三〇日同都台東区東上野五丁目五番一五号所在の所轄下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二三九、二九〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額四、三八〇、八五〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の法人税を免れ
第二、昭和四〇年八月一日から同四一年七月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が二三、八一一、五八二円でこれに対する法人税額が八、三五四、三九〇円であつたのにかかわらず昭和四一年九月二九日前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四七一、三八八円でこれに対する法人税額が四一四、五六〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額七、九三九、八三〇円を法定の納付期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の法人税を免れ
たものである。(各年度の所得の確定内容は別紙第一、第二の修正貸借対照表記載のとおりである。)
(証拠の標目)
一、被告人熊田治の当公判廷における供述、上申書七通、検察官に対する供述調書六通
一、登記官作成の登記簿謄本
一、熊田美智子(四通)、熊田泰典、中山弘美、坂井照子、鈴木勝也の検察官に対する各供述調書
一、山口亘の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大蔵事務官清宮武雄作成の調査書一一通(定期預金、普通預金、銀行預金、受取手形小切手入金、債権総合、公表送金、簿外商品、売上金額、差益率、有価証券、通知預金)
一、大蔵事務官宮寺福平作成の証明書
一、押収にかかる以下の証拠物件(いずれも当庁昭和四四年押第九九号カツコ内はその符号番号)
総勘定元帳四綴(1の1~3、15)、源泉所得税領収証書等一袋(2)、法人税決定決議書綴一綴(16)、法人税決議書綴四綴(17の1~4)
(法令の適用)
被告会社の判示各罪は、法人税法一五九条、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金三五〇万円に処する。
被告人熊田の判示各罪は、法人税法一五九条一項に該当するが所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、同被告人を懲役四月に処し、但し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間
右の刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 小島建彦)
別紙第一
修正貸借対照表
株式会社 丸美商会
昭和40年7月31日
<省略>
<省略>
別紙第二
修正貸借対照表
株式会社 丸美商会
昭和41年7月31日
<省略>
<省略>